長男がちょうど1歳頃のある日、マグネットをホワイトボードに貼る、という作業をしていました。カラーマグネットに交じり1つだけ、お土産でいただいた大きなマグネット。それをペタッと貼るとお決まりの反応が。

「うわ〜ん!」

他のマグネットは、貼ったりはがしたりできるのに、そのお土産マグネットだけは強力で長男は取れないのです。

取りたいのに取れず、助けを求めて泣く、これの繰り返し。「もう!」と私も思い始めた時、「あのね、助けてほしい時は【手伝って】て、こうやるんだよ。」と、言いながらサインを見せました。

「手伝うね。」と言いながらサインを見せる→お土産マグネットを取る→お土産マグネットを長男に渡す→長男がお土産マグネットを貼る
の工程を何度か繰り返した後、長男がすぐに変化を示しました。
両手を胸でとんとん。それは今まさに私が教えたサイン。

【手伝って】

「手伝ってほしいんだね!はい、どうぞ!」と、お土産マグネットを渡すと、長男はにっこり。私もにっこり。さっきまでの、泣かれるイライラがウソのように吹き飛んでいました。

それ以来長男は、困った時は泣く、のではなく、このサインで訴えるようになりました。
通れないから椅子をどかしてほしい、おもちゃの冷蔵庫の扉をあけてほしい、時にはうなされ、寝ながらこのサインする時も。
サインがあると子育てのストレスがだいぶ減ります。そして、1つでも伝える手段を身につけるだけで、赤ちゃんてものすごく表現豊かになるんですね!

文:野本ひさえ

【コラム筆者紹介】野本ひさえ
2014年に西尾市、2016年に岡崎市にて日本ベビーサイン協会認定
MeandFamilyベビーサイン教室を開講。自身の3人の子供達と3度のベビーサイン育児を経験。赤ちゃんとのコミュニケーションの楽しみ方をアドバイスし、楽しめる子育てをサポート。日本おひるねアート協会認定講師としても活動中。